ニュピの朝・ガーデンの花々①<2017年3月>

bougainvillea28/03/17
こんにちは。今年3月のバリ島滞在、3月28日の続きです。
バリ暦のお正月”ニュピ”のこの日、ホテル敷地の外には出られないので、
朝食後、花々をゆっくり眺めながら、敷地内を散歩しました。
ブーゲンビレアの枝が伸び、よく晴れて澄んだ青空に、ピンクの花が映えます。
右下の方に見えるのはテイキンザクラで、こちらもたくさん咲いています。

テイキンザクラの花は、ピンクというより赤に近い色です。
teikinzakura28/03/17
テイキンは”提琴”つまりバイオリンのことで、葉の形が提琴に似て、
花が咲く風情が桜に似る、ということでこの和名だそうです。
桜とは違う仲間で、トウダイグサ科の常緑低木です。
バリ島では、ホテルのガーデンや遊歩道沿いで植えられているのを見かけます。
寒さに弱い木ですが、日本でも沖縄では育つようで、
私も沖縄・西表島で散歩中、民家の庭で見かけています。

足元には、少し朱色がかった赤い花が咲いていました。
aloe28/03/17
たぶん、アロエの一種の花だろうと思います。

最近植えたらしき低木に、白い花が咲いていました。
lime2-28/03/17
この花、見るからに柑橘系ですよね。
たぶん、ジュルッ・ニピスJeruk nipis(ライムの一種)だろうと思います。
葉の感じで、最初は沖縄でよく見るゲッキツかな、と思ったのですが、
実もついていて、その感じがゲッキツとは違うようでした。

別の枝に、ちっちゃな実がいくつかついています。
lime1-28/03/17
ジュルッ・ニピスといえば、切って朝食のフルーツの上にのっていた、
あの柑橘です。
見た目は沖縄のシークァーサー(ヒラミレモン)の実にも似ているけど、
同じミカン科でも、種類は違うようです。
Jeruk nipisをインドネシア語のWikipediaで検索すると、学名はCitrus aurantifoliaと出ます。
しかしその学名で日本語で検索すると、メキシカンライムというのが出てきます。
つまりこの学名はライムの一種を指しているけど、その中でいくつか種類があるようで、
そのうちの一つがバリ島でよく見るJeruk nipisなんだと思います。
なお、Jeruk nipisの和名を”コブミカン”と書いているものもあるのですが、
コブミカンは文字どおり実の表面がもっとゴツゴツしてるので、違う種類ではと思います。
つまりミカン科のライムっぽいもの、いろいろ種類があって、混同されてるみたいです。
私もはっきりした違いがわからないのですが、見た目と、何と言ってもバリでホテルの庭に植えてるので、
一番ありそうなのがJeruk nipisだなと思い、そういうことにしちゃいました。もし違ってたらごめんなさい!


普段通りすがりに少し見るだけのガーデンの花々も、
ゆっくり見ながら歩くと、楽しいものでした。
明日もこの続きを書きます。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
Sampai jumpa besok(また明日)!

 ※植物については、Wikipediaの他、次のサイトを参考にしています。
   「おきなわ 緑と花のひろば」より「テイキンザクラ」
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晴れたニュピの朝<2017年3月>

breakfast28/03/17
こんにちは。今年3月のバリ島滞在のことを書いています。
3月28日、バリ島で静寂の日とされる”ニュピNyepi”の朝、
散歩にも出かけられないので、ゆっくりと朝食を食べました。
みずみずしいフルーツの盛り合わせは、それだけでご馳走です。
鮮やかなピンク色はドラゴンフルーツ、甘くてとても美味しいけど、
うっかり服にシミをつけないよう、気をつけて食べます。
オレンジ色はパパイヤ、赤はスイカ、黄色はパイナップルです。
ライムのような柑橘ジュルッ・ニピスJeruk Nipisをちょっと絞ると、
フルーツの甘さが引き立ちます。

ニュピの日は、バリでは本来断食と瞑想をして過ごす日とされ、
私も断食してみたことがあったのですが、今回は普通に食べました。
断食してみた時は、さすがに水は飲みましたが、師匠の話では、
朝6時から翌朝6時まで24時間、水も飲まないのが正しいやり方だそうです。
バリ人も、厳格に断食する人もいますが、普通に食べる人も多いようです。

ニュピは、バリ島サカ暦で十番目の月Sasih Kadasaの最初の日で、
サカ暦新年とされる日ですが、西暦の日付では毎年少しずれています。
私たちも、毎回ニュピに合わせての滞在はできないのですが、
今年は予定した日程にちょうどニュピが当たりました。
バリ島でニュピの日を迎えるのは、これで4回目です。

ニュピについてはまた後日詳しく書きますが、この日は観光客であっても
宿泊施設の敷地内から一切外に出られません。
いつもの遊歩道の散歩も当然できないので、朝食を食べた後、
敷地内をぶらぶら散歩しました。
朝からよく晴れて、すっきりの青空です。
morning sky1-28/03/17
太陽の光を浴びて、ココヤシの葉がキラキラ輝いています。

シマオオタニワタリの葉も、光に透けて美しく見えます。
birds nest fern28/03/17
着生シダの一種なので、こうして鉢植えにする他、
木の幹につけて育てているのもよく見かけます。

日陰では、花々がしっとりと咲いています。
walking iris28/03/17
黄色で中心部に斑があるこの花はアヤメ科のネオマリカ・ロンギフォリア、
英名のウォーキング・アイリスの方が言いやすいかもしれませんね。

サンユウカの花は、いつ見てもふんわりと優しげです。
sanyuuka28/03/17
サンユウカはキョウチクトウ科で、風車みたいな花がたくさん咲いているのも
可愛い眺めです。

空を仰ぐとシュッとすじを描く雲が見え、テリハボクの梢から
木漏れ日がさしこみます。
morning sky2-28/03/17
いつにも増して澄み渡った青空、これは気のせいではなく、
本当にニュピの日は空気が澄んでいるのです。
島中の誰もが外出しない、つまり車もバイクも通りを走っていないので、
排気ガスが全くないからです。
空港も閉鎖し、飛行機の離発着もないため、空も静かです。

穏やかなニュピの朝、明日もこの続きを書きます。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
Sampai jumpa besok(また明日)!
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マジャMajaの実と花<2017年3月>

maja2-27/03/17
こんにちは。今年3月のバリ島滞在、3月27日の続きです。
この日、四ツ辻での儀礼を見に行く途中、目抜き通り沿いの店の前に
マジャMajaの大きな実がなっているのを見つけました。
ミカン科の柑橘で、”マジャ”はインドネシア及びマレーシア名、和名はベルノキです。
原産地のインド名はサンスクリット語由来のBaelまたはBelで、
そこから英名はバエルフルーツBael fruitとなっています。
自生種はインドの他、マレー半島やフィリピンのルソン島、
インドネシアのジャワ島にも分布すると図鑑にはあります。
ヒンドゥー教と関わりの深い木で、バリ島ではあちこちで植えたものを見かけます。
(インドではシワ神に捧げる木として寺院に植え、葉を宗教儀式に使うそうです)
また仏典にも記載がある木なので、タイでも寺院によく植えるそうです。
(タイ名はマトゥームで、ブッダが托鉢の帰路この木の下で休んだとされます)
栽培種は自生種より実が大きく、この実もグレープフルーツより大きいくらいです。

師匠やホテルスタッフなどバリ人に聞くと実は「苦いから食べない」と言いますが、
熟したものは、一応食べられるようです。
タイではジュースやシャーベットにし、”適度な酸味と良い香りがある”とありました。
原産地インドでは果肉をスライスして干したものが一般的で、市場でも売られ、
煎じて薬にしたり、お茶にしたりするそうです。

枝先には、花も咲いていました。
maja3-27/03/17
花は薄緑色で、長さ4〜5cmほどあります。
高いところに咲いていて確認できなかったけど、とても良い香りがあり、
蒸留して香水の原料にもなるそうです。

ツヤツヤの実は何だか可愛いし、花の香りも楽しめる上、程よい日陰を作ってくれ、
店先に植えるにももってこいなのでしょう。
maja1-27/03/17
以前ホテルのガーデンで見たのも3月なので、この時期に実がなるようです。

さて、バリ島の伝統文化は、ジャワ島マジャパヒト王国の文化が礎にあります。
Wikipediaによると、バリ島は4世紀頃からジャワ島の王国の支配下にありましたが、
10世紀には独自のワルマデワ王国となりました。
ワルマデワ王国は400年ほど続くも、14世紀にジャワのマジャパヒト王国の侵攻を受け、
支配下に入ります。
ところが16世紀、ジャワ島へのイスラム勢力の侵入によりマジャパヒト王国は衰亡し、
王国の重臣や僧侶、芸術家や工芸師らがバリ島に逃れてきます。
マジャパヒト王国から亡命した人々により、古典文学、影絵芝居、音楽や彫刻など
今につながるバリの文化が花開いたと言われます。
イスラム勢力に追われたマジャパヒトの人々が、という話は師匠がよくするのですが、
まるでつい昨日のことのように語り、とても身近に感じる出来事みたいです。

マジャパヒト王国の名は、当時都が置かれたのがジャワ東部のマジャパヒト村なので
そこから来ているようです。
Majapahitの”pahit”は苦いという意味なので、”苦いマジャ”という意味になります。
つまり首都となった村の名は、そもそもこの木Majaに由来しているのでしょう。
また、以前記事に書いた時lotusyaさん(lotusyaさんのブログ→「バリ島グンデルワヤン徒然日記」に頂いたコメントでは、こんな興味深い話が書かれていました。
『ジャワの親戚から、マジャパヒット王朝がバリに攻め入ろうとした時、
 バリの人たちは反感を込めてこの実を王に送ったという話を聞きました。
 なので、「Majapahit」をもじって「Rajapahit」(苦い王様)とも呼ぶそうです。』

さて、この日四ツ辻での儀式を見た後、飲食店はほとんど閉まっているので、
コンビニでカップ麺を買って帰り、部屋で食べて夕食にしました。
いつもは安い”POP MIE”を買うけど、この日はちょっと高い”CUP NOODLE”です。
cup noodle27/03/17
在住の方が食べて見て美味しかった!という記事を読み、興味があったのです。
上にスパイス袋が付いてて見づらいけど、シーフードヌードルです。
そう、れっきとした日清インドネシアのカップヌードルです。
スパイスを入れると激辛になるらしいので、私は入れずに食べてみました。
POP MIEより優しく食べやすい味で、さすが日清、美味しかったです。
夫は激辛でも大丈夫なので、私のスパイスもあげましたが、
辛くしてもまた美味しいみたいです。
もちろんビンタンビールも買って、一緒に飲みました。
伝統的な濃い儀式を四ツ辻でたっぷり見た後だったので、
現代的に俗っぽくカップ麺にビール、というのがまたいい感じでした。
しかもインドネシア製とはいえ日清で、味は日本のに近いから、
少しほっとしたりもしたのでした。
そういえば日本でも、精進落としやお清めと言ってお酒を飲んだりするし、
聖と俗のバランスを取るのも、大事かもしれませんね。

明日は翌朝のことを書きます。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
Sampai jumpa besok(また明日)!

 ※植物については、次の本とサイトを参考にしています。
   本:「TROPICAL FRUIT」Desmond Tate著 Didier Millet
     「熱帯くだもの図鑑」海洋博記念公園管理財団
   サイト:「タイの植物チェンマイより」より「ベルノキ」
 ※以前マジャについて書いた過去記事はこちら→「大きな実」
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タウール・クサンゴ儀礼⑥儀式の終わり<2017年3月>

taur kesanga20-27/03/17
こんにちは。今年3月のバリ島滞在、3月27日の続きです。
四ツ辻でのタウール・クサンゴ儀礼は、奉納舞の途中から、踊り手や参列者の
何人もがクラウハン(トランス)に入り、終盤を迎えました。
午後6時40分頃、まだ胸にクリス(儀礼用短剣)を突き立てる男性がいて、
マンクー(僧侶)が聖水をかけて清めています。

クラウハンからまだ覚めやらず、ぐったりしたままの人もいる中、
儀式自体は終いのようで、座っていた参列者も立ち上がり始めました。
taur kesanga22-27/03/17
ガムラン隊も、煽るような激しい音から変わって、一定のリズムを刻み始めます。

まず男性に掲げられたご神体のランダの面が、辻を横切り移動していきます。
taur kesanga21-27/03/17
黒いシャツはプチャラン(自警団)の人たちで、前に立って通り道を作っていきます。

皆立ち上がり、トゥドゥン(儀礼用傘)を差しかけられたランダの面が
通っていくのを見守っています。
taur kesanga23-27/03/17
日は暮れて、空には夕闇が迫ってきています。

マンクーや踊っていた女性たちに続き、みな移動する時間のようでした。
taur kesanga24-27/03/17
正装の男性たちは頭にウドゥン(儀礼用鉢巻)を巻いていますが、
その後ろに差し込んだ花もきれいです。
男性も、お祈りの時手指に挟んで使った花を、耳元やウドゥンなどに
こうして差し込みます。
花を通して神様と繋がる意味があると聞いたことがありますが、
女性同様、おしゃれの一つでもあるようです。

参列者一同はみな、大きなブリンギンの木がある寺院境内に入っていきました。
ここでしばらく休憩タイム、みたいな感じになり、参列者も一旦家に戻ったり、
近くのワルンで一服しておしゃべりしたりします。
四ツ辻にはいっとき、オゴオゴだけが取り残されたような感じになります。
taur kesanga19-27/03/18
小1時間ほどすると、またみんな集まってきて、オゴオゴ行列が始まります。
2年前は、オゴオゴ行列まで見たくてずっと近くで待っていたのですが、
待ち時間というのも案外くたびれます。
今回も、このオゴオゴが練り歩くところを見たい気持ちもあったけど、
儀式の前から1時間ほど立ち見していたので、既にかなりくたくたです。
一旦休憩しようと戻る間、もう儀式を見たからいいか〜という気分になり、
そのままホテルに戻り、オゴオゴ行列は見ませんでした。

さて、ニュピ前日の夜は四ツ辻でのタウール・クサンゴ儀礼の他に、
バリの人々は各家でもお清めの儀式をします。
私は各家での儀式は見たことがないのですが、次のようなものだそうです。
ニュピのために門前に立てる特別の祭壇や地面などにお供えをして、
火(松明)を持って、家寺の祠、家中の建物を清めて周ります。
その時、子供たち中心に、鍋釜や竹竿、楽器、缶など音の出るものを何でも持ち、
激しく打ち鳴らしながら一緒に周ります。
激しい音で悪霊を驚かせて追い散らし、神聖なる火で全てのものを浄化する、
ということだそうです。
音をガンガン打ち鳴らすこの風習は、子供には楽しいものでしょうね。
音を鳴らして周る儀式は”オゴオゴ”よりずっと古くからあるものです。
あちこちで村のクルクル(伝令用の木鐘)も激しく鳴らされ、通りでは爆竹も破裂し、
松明と音を鳴らす騒々しい行列は町中を練り歩くと、1930年代の本に書かれています。
この時、顔や体を塗りたくっている人もいたそうで、そんなところから、
誰かがオゴオゴを思いついたのかもしれませんね。
(オゴオゴは1980年代から始まったそうで、今でも行わない地域もあります)

タウール・クサンゴについていろいろ調べ、興味深いことを知りました。
タウールという言葉は”支払い、返却”を意味するのだそうです。
人間は自然の恵みで生かされ、自然の要素を使い、吸い取って生きています。
その恵みの一部を供物として”お返し”することで、バランスが取れるのです。
そして、悪霊が本来の姿である神々へと転じるよう祈る儀式を通して、
共に調和しようとする人間を邪魔しないようになると考えるそうです。
その儀式をニュピ前日、つまりサカ暦で九番目の月Sasih Kesangaの最終日に行うのが
”タウール・クサンゴTaur Kesanga”だとのことです。

今年は、実はオゴオゴよりもこの四ツ辻の儀式の部分をきちんと見たかったので、
私としては十分満足でした。
この日は夕方前に、飲食店などはほとんど閉まってしまいます。
私たちは帰り道、コンビニに寄って夕食用のカップ麺などを買いました。

明日は、この日通りで見かけた花のことなどを書きます。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
Sampai jumpa besok(また明日)!

 ※儀式については、ホテルでもらった案内の他、次の本やサイトを参考にしています。
   本:「バリ島」ミゲル・コバルビアス著 関本紀美子訳 平凡社
   サイト:「バリ島ナビ」より「ニュピ〜サカ暦の新年〜」
       「ハウズバリ バリ島生活情報誌」より「デンパサール市のオゴオゴ」
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タウール・クサンゴ儀礼⑤クラウハンKerauhan<2017年3月>

taur kesanga12-27/03/17
こんにちは。今年3月のバリ島滞在、3月27日の続きです。
四ツ辻で行われたニュピ前日のタウール・クサンゴ儀礼、
午後6時半を過ぎると、西の空が夕焼けに染まってきました。
あかあかとした空を背景に、ご神体のランダの面が儀礼を見守っています。

女性たちの奉納舞のさなか、クラウハン(トランス)に入る人が次々と現れ、
マンクー(僧侶)たちは抱えて支えたり、聖水をかけたりと大忙しです。
taur kesanga13-27/03/17
バリの儀礼では、クラウハン(トランス)が重要な核心となることも多いようです。
クラウハンKerauhanはインドネシア語にすると”Datang(来る)"という意味で、
何か見えない存在が”来た”つまり憑依した状態をさします。

憑依するのは精霊だったり悪霊だったり、色々な場合があるようです。
また、その憑依の形もいろいろで、特にそれを目的とした儀礼の場合、
マンクーや少女など予め選ばれた人が、用意周到に準備することもあります。
私が今まで実際に見た事があるのは、特に予め決まった人というのでなく、
儀式中突然暴れ出したり、踊り出したり、体を硬直させたりするものでした。
中には獣のように四つん這いに歩いたり、女性の場合は突然叫んだり、
倒れても手だけ踊り続けたり、すすり泣いたりというのもありました。

この時は、踊っていた女性の数人が、よろめいた感じになり、
目を閉じて踊り続け、倒れそうになってマンクーに支えられました。
誰かがクラウハンに入ると、周囲の人々は注意深く見守り、
倒れたり飛びかかってきたりしない限り手出しはしません。
周りで控えている何人ものマンクーが、様子を見て支えたり押さえたりして、
適当なタイミングで聖水をかけ、正気に戻らせます。

聖水をかけてもすぐ正気に戻る人と、なかなか戻らない人がいます。
taur kesanga15-27/03/17
男性はうわーっと暴れ出す人も多く、ちょっと騒然とした感じになってきました。

この事態は地元の人には当たり前でも、初めて見る観光客にはびっくりです。
taur kesanga16-27/03/17
私も本などで知ってはいたものの、初めて見た時はびっくりでドキドキしました。
自警団の人たちも暴れる男性のそばに出てきて、混乱しないよう備えています。
言い換えれば驚いた見物客が過剰反応して、儀式を乱されても困るのだと思います。

後で思えば、四ツ辻を囲んで参列者が座り、見物客と混ざらないようにしたのも、
混乱を避けるためだったかもしれません。
taur kesanga17-27/03/17
男性がクラウハンに入ると、適当なタイミングでその人にクリス(短剣)が渡されます。

渡された男性は、クリスの先を胸に突き立てるのです。
taur kesanga18-27/03/17
女性の陰にいる男性が、歯を食いしばってクリスを突き立てています。
先は結構尖っているので痛いはずで、時に怪我することもあるそうですが、
クラウハンに入ると筋肉が硬直するため、その時は痛みを感じないのだそうです。
男性が胸にクリスを突き立てる場面は、観光用のバロンダンスでも演じられるので、
見た事がある方も多いのではと思います。
(観光用のものは、演技だろうとは思いますが・・・たぶん。
 ただ、昨年PKBの舞台でもクラウハンがあったそうなので、なんとも言えませんね。
 →昨年のPKBでの様子、ご興味のある方はシロブチさんの記事にて!)


ガムランも急激に音が大きくなり、クラウハンを煽るかのように
速く激しいリズムを打ち鳴らします。
この儀式でのガムランは”バラガンジュール”で、行列などでよく演奏される形態です。
”バラ”とは”地下に棲む精霊たち”、”ガンジュール”とは”賑やかに囃したてる”
という意味です。
もともと、地上で賑やかな音を立てて地下の精霊、悪霊たちを呼び出し、
供物を捧げるためのガムランなのです。
※バラガンジュールbalaganjurはブボナンガンbebonanganとも呼ばれます。
ボナン属のドラ(音階順に調律された数個のコブ付きドラ)で、五音ペログによる旋律的なパターンを演奏し、
2台のクンダン(太鼓)とチェン・チェン・コピヤック(手持ちの小型シンバル)などが加わります。
バラガンジュールは悪霊祓いに関する儀式や火葬儀礼の行列などに欠かせませんが、
イベントのパレードなどでもよく演奏されます。
ただし、神々が降臨するための儀式には使えないのだそうです。


儀式でのクラウハンは突然、どのタイミングで起き始めるかわかりません。
クラウハンが始まると、ガムランは急速に激しくなりますが、
そろそろ正気に戻る、という時には、次第にテンポも音量も下げていきます。
以前オダランでクラウハンを見た時は、ガムランはゴン・クビャールという編成で、
楽器の種類も多く複雑な曲ですが、演奏の変化のしかたは同じでした。
テンポや音量の変化のタイミングは、リーダーを中心に奏者もわかっているようですが、
マンクーが直接ガムラン隊に指示を出すこともあると、以前師匠が話していました。

このクラウハンは、見えない世界が見えない人にも、その存在をはっきり感じられる、
とても重要なものなんだろうなと、私は感じます。(個人的感想です。)
普通にしていた人が突然暴れ出したり、叫んだり硬直したりすると、
周りの人は、あ、何かここに来てる、この人に入った、と感じます。
悪霊などはいてほしくない存在かもしれないけど、ただ否定し追い払うのでなく、
そうだね、見えないけどいるんだねと認めることで、なだめるのかもしれません。
タウール・クサンゴも悪霊払いの儀式だけれど、まず供物や音楽、奉納舞などを通して
お出まし願い、居合わせた皆でその存在を確認することが大事なのでしょう。
それから聖水をかけてご退散願う、あるいは祈りやマントラを通して、
その強烈なパワーを良い方へと転じさせるのが儀式の流れなのかなと思います。

ところで、クラウハンが始まると、奉納の舞踊や劇など途中でも中断してしまいます。
時にクライマックスシーンなしで終わることもあり、あんなに練習してたのに、
あの場面やらないで終わっちゃうの?なんてこともあります。
(以前師匠のバンジャールで、オダランで奉納する舞踊劇の練習を見たことがあったのですが、
 終盤の迫力シーンの本番を楽しみにしてたら、当日はそこに入る前に、バタバタッとクラウハンになり、
 終わってしまってちょっと残念、なんてこともありました。)


クラウハン、一時期バリ人もやはり今時これは・・・という風潮になりかけたらしく、
あまり観光客に見せたくない、ということもあったようです。
でも最近はまた変化して、バリらしい儀式の核心として誇りにしているそうです。
私も今回見ていて、儀式の中でクラウハンも滞りなく行えるよう、
細心の注意を払っているように感じました。
まず、儀式の始まりとともに、まるで結界を張るかのように辻を囲んで皆が座り、
見物客が混ざらないよう、場所を区切っていました。
そして、クラウハンに入った男性がクリスを突き立てると、
座っている参列の男性たちが、拍手を送っていました。
よーし!という感じの拍手や声援が送られ、これが儀式なんだ!ということを
明確に示している感じでした。

バリの祭礼や儀礼は、大勢参加して賑わった方が良いとされることも多く、
外国人や観光客も、快く見させてもらえる機会が多いと思います。
ただ、儀式の邪魔をされては困るわけで、特に観光地では問題も多いのでしょう。
今年はホテルでもらった案内でも、儀式について詳しく書かれていたり、
儀式の場でも、見物客が邪魔しないよう考えて工夫している気がしました。
観光客を大切にしながらも、自分たちの文化はきちんと守っていく、
そんな気概も感じました。

明日もこの続きを書きます。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
Sampai jumpa besok(また明日)!

 ※儀式、クラウハン、ガムランについては、次の本とサイトを参考にしています。
   本:「神々の島バリ」(春秋社)より
       「儀礼としてのサンギャン」(嘉原優子)「ガムランの体系」(皆川厚一)
     「バリ島 -Island of Gods-」賈 鍾壽(Ka Jongsoo)著 大学教育出版
   サイト:論文「加えられたグンデル・ワヤンーバリ島の正月ニュピをめぐる新習慣と村の音の十年」
                        (伏木香織)
             
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プロフィール

里花

Author:里花
花々と緑あふれる大好きなバリ島に、17年ほど前から通い続けています。
神々への感謝と祈りとして芸能を捧げるこの島で、ここ数年の滞在中は伝統音楽ガムランの楽器グンデル・ワヤン(上写真)を習っています。
現在東京在住ですが、近いうちバリ島に住むつもりでいます。

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