バンリのお宅で過ごした午後<2017年1月>

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こんにちは。年末年始のバリ島滞在、1月6日の続きです。
師匠の親戚Nさんの運転する車でバンリ地方を訪れた私たちは、
観光村プンリプランをゆっくり散策して、駐車場に戻った。
道端に、草の束をいっぱい載せたバイクが止まっていた。
多分草葺き屋根に使うアランアラン(チガヤ)だと思うが、
バリ島では何でもバイクに積んで走ってしまうので驚きだ。
プンリプランでは、中心の通りを外れても、昨日も書いたように
道と家々の塀との間には草木が植えられ、緑がいっぱいだ。

しかし街中に出ると、道沿いはワルンなど店になっているところが多い。
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ここは長屋形式の建物に数件の店が入っている。
どの店も、間口は広いが奥行きはそれほどない。
こうしたところは、この後ろに普通の住居があることが多い。
住居敷地と道との間、従来は植え込みにしていたスペースを店舗にして、
何か商ったり、他の人に場所貸しすることも多いようだ。

さて、一旦バンリの町を通って、次に向かったのは師匠の友人宅だった。
「いるかどうかわからないけど、せっかく近くまで来たから寄ってみる」
とのことだった。
師匠宅にあるガムラン楽器の彫刻は、その友人宅でお願いしたのだと言う。
知らないお宅を訪ねるのはちょっと緊張する。
近くに車を止め歩いて行くと、犬の大きな鳴き声がして、
庭で作業していた男性が気づき、笑顔で迎えてくれた。
「どうぞどうぞ」と招き入れてもらったお宅は、広い中庭があり、
その奥にある家寺の片側は、裏山に接している。
バリ式の造りの家では、その家の主人夫婦が過ごす居住棟の前が
広いテラス(ポーチ)になっており、客間を兼ねていることが多い。
私たちが中庭へ入っていくと、奥様と娘さんらしき人が、
そのテラスに大きなゴザを広げ、座るよう勧めてくれた。
コピをいただきながら、まずは何となくの世間話だ。
ご主人が、卵の殻の彫刻だと言って、持ってきて見せてくれた。
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土産物でこういうのは見たことがあるけど、こんなに精巧な彫刻で、
見事なものは見たことがない。
卵と言っても、このサイズからするとダチョウとかの卵だろうか。

もう一つ、別の物も見せてくれた。
こちらは全体が白っぽくて、ちょっとつやがある感じだ。
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卵の殻に彫刻と言っても、具体的にどんなふうにするのかわからないけど、
とにかく細かく見事て、すごい仕事だなあと思った。

師匠は、先日息子がPKB(アートフェスティバル)に出まして・・・なんて言って、
その時のビデオをスマホで見せたりしている。
お互い何気に軽く自慢話や、それに対する「すごいですな〜」みたいな
褒め言葉を混ぜつつ、近況報告、というかおしゃべりが続いていく。
Nさんはテラスの端でずっとタバコを吸ってるし、私たちは状況もよくわからず、
当たり障りなく相槌を打つくらいで過ごした。
コピを飲み終え、そろそろお暇かなと思ったら、息子さんらしき人が帰ってきた。
その息子さんの方が師匠と親しいらしく、じゃあちょっとやろうか、と言って
何と物置から楽器が運ばれてきた。
ええっ、ここから何か始まるの?私たちどうすればいいの?と思ったけど、
とにかく見ているしかなかった。

運ばれてきた楽器はアンクルンで、見事な彫刻が施されている。
アンクルンは主に火葬儀礼の演奏で用いる4鍵の青銅製鍵板楽器だ。
右手1つのバチで演奏し、左手で消音する奏法は、ガンサなどと同じだ。
実際の儀礼演奏では大小合わせて10台あまり使い、太鼓や笛なども加わる。
たった4つの鍵板、つまりたった4つの音から紡ぎ出されるとは思えない、
壮麗で美しい旋律が延々と紡ぎ出されるのだ。
他のガムラン同様、アンクルンも地域によって曲が違うらしい。
師匠とその友人は一緒に弾きながら、バンリではこんな曲があるとか、
うちの方ではこういうふうに鍵板を使うとか言っている。
お互い共通で知っている曲もあるけど、その場で初めて聞く曲も、
相手に合わせて即興でサンシ(裏パート)を弾いてるようだった。
しかもサンシを弾きながら、ポロス(主旋律)を弾く相手を見て、
そのメロディーも聞き取って覚えようとしている。
そういうことがいっぺんにできちゃうんだ!と見ていてびっくりした。

だんだん二人とも興にのって熱くなっていく。
やがてそのお宅の別の男性も2人加わり、セッションというより、
地域対抗ガムラン合戦、みたいになってきた。
ご主人は気を遣って「あなたたちもどうぞ」と声をかけてくれるが、
アンクルンを弾けない私たちが、試しにと遊びで入れる感じでもなかった。
勉強にと見ていたけど、さすがに1時間を超えると眠くなってきてしまった。
中庭にさす日差しも、だんだん傾いてくる。

結局2時間近くをそのお宅で過ごし、午後3時過ぎ、ようやく帰ることになった。
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庭の片隅にドラゴンフルーツがあり、花が終わって実になりかけていた。

ここでは儀礼用のパユン(傘)も作っているんだよ、と作業場を見せてくれた。
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骨組み部分を見ると、かなり大きな傘になりそうだ。

ご主人とは門のところで挨拶をして別れ、息子さんの方が車のところまで来て
見送ってくれた。
車を止めた場所のすぐそばに、古めかしいお寺があった。
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堂々とした中門が、曇り空にそびえ立って壮観だ。

中の写真を撮って大丈夫だよ、と息子さんに言ってもらったので、
外門のところから写真を撮った。
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手前の祠は、イジュ(サトウヤシの幹の繊維)で葺いた屋根だ。
寺院の塔や祠も最近は瓦葺きが多いが、伝統的にはこのイジュ葺きだ。
民家の屋根とは違う、特別な屋根材だ。

苔むして古めかしいけれど、きちんと手入れされたお寺だった。
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オランダ植民地時代、というような話をしていたから、
80年から100年近くは経っているのだろうか。

バンリとひと口に言っても南北に広い県なので、北の方にはバトゥール山があり、
バトゥール寺院などもこの県の中にある。
バンリ王朝時代の歴史もあり、まだあちこち見所もある地方で、
またいつかゆっくり、この地方に訪れてみたいなと思った。
車まで見送ってくれた息子さんに別れを告げ、バンリの町を後にした。

明日は、バンリからの帰り道のことを書きます。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
明日も良い一日でありますように!
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プロフィール

里花

Author:里花
花々と緑あふれる大好きなバリ島に、18年ほど前から通い続けています。
神々への感謝と祈りとして芸能を捧げるこの島で、ここ数年の滞在中は伝統音楽ガムランの楽器グンデル・ワヤン(上写真)を習っています。
現在東京在住ですが、近いうちバリ島に住みたいです。

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