サプ・レゲール@依頼者宅⑤ワヤンその3・終演<2016年12月>

wsl.n.21-30/12/16
こんにちは。12月30日のサプ・レゲール儀礼の続きです。
ワヤン・サプ・レゲール(サプ・レゲール儀礼で上演されるワヤン・クリ)も、
カラ神に続きシワ神も登場、佳境に入ってきた。

バリ島では、ウク暦でワヤンの週(ウク・ワヤン)に生まれた子供は
カラ神に呪われている、という伝説がある。
ウク・ワヤン生まれの人が背負った呪いを祓い、浄めるのがサプ・レゲールで、
その週だけに行われる儀礼だ。
儀礼では、カラ神に向けた膨大な供物を用意し、ワヤン・クリを上演する。
演目は、人喰い神カラに追われる弟クマラ神(ウク・ワヤン生まれ)が、
マンク・ダランにより救われる、という伝説の物語だ。
物語の中で、カラ神が父シワ神、またマンク・ダランと対決するのは、
いずれも戦闘ではなく、謎かけや問答で行われる。
最後には、敗北を認めたカラ神が去っていき、ウク・ワヤン生まれの者は
カラ神の呪いから解かれるということになる。

物語で、父シワ神は、カラ神に人間を食べることを禁じようとする。
(牛飼いの姿に扮して現れ、謎かけを行い、約束させる)
しかしそもそも、自分の過ちから人喰い神になってしまった息子なので、
空腹を訴える姿が哀れになる。
それでウク・ワヤン生まれの子供だけ食べて良い、と条件付きで認めてしまう。
ウク・ワヤン生まれの子供を見つけては食べても足りないカラ神は、
弟クマラ神もウク・ワヤン生まれと思い出し、弟を食べようと追い詰めていく。
wsl.n.22-30/12/16
すぐそばに迫るカラ神、間一髪で逃れるクマラ神、
2つの人形が激しく交錯し、緊張感漂う追走の場面だ。

そこに、クマラ神を救うべく登場するのがマンク・ダランだ。
マンク・ダランは、聖水を作る僧侶としての役割も持つダラン(人形遣い)だ。
上演では、マンク・ダランとして作られた専用の人形を使うこともあるが、
通常トゥアレンとして使う人形をそのまま、または変身させて使うことも多いらしい。
この時は、集会所での上演時と同様、トゥアレン人形がカヨナンを持つことで、
マンク・ダランとして登場させるようだった。
wsl.n.23-30/12/16
ダランがトゥアレンと宇宙樹カヨナンの人形を重ねてもち、この後すぐ登場させた。

登場したマンク・ダランは、四ツ辻でワヤン・クリの上演を始める。
そこにクマラ神が逃げてきて、上演中のマンク・ダランに助けを求め、
演奏する楽器(グンデル)の共鳴筒の中に隠れる。
ほどなくして、そこへカラ神が追いかけてくる。
隠れたクマラ神が見つからないので、カラ神は空腹のあまり苛立ち、
そこにあったワヤン上演の供物を、ガツガツと食べてしまう。
wsl.n.24-30/12/16
これが、ガツガツと喰らいついているところだと思う。
この時の演奏は、ジャッ、ジャーン、という感じで音を繰り返し、強く打ち鳴らす。
悪側のワヤン人形は、どれもぎょろりとした目が特徴的だ。
カラ神もそうだが、でもどこか愛嬌も感じてしまう顔だ。

ワヤン上演の供物を食べてしまったカラ神に対し、マンク・ダランは静かに怒り、
これでは上演が続けられない、供物を返すようにと言う。
それに対しカラ神と従者は、自分と誰と知ってそんなことを言うのか、
そもそもお前は本当にちゃんとしたマンク・ダランなのか?と問い詰める。
そして、ワヤン上演に関する知識を問う質問をして、
答えられなければ許さないぞ、みたいな感じに言う。
マンク・ダランは質問に全て正確に答えたので、逆にカラ神の敗北となる。
マンク・ダランはカラ神に対し、神々の世界へ帰るように、
そして今後ウク・ワヤン生まれの子供も食べないようにと言い諭す。
wsl.n.25-30/12/16
「”マンク・ダランが浄化儀礼を行なった子供であれば”食べない」と条件付きにして、
カラ神を納得させる、という流れにすることもあるようだ。

ようやくカラ神が去り、クマラ神も食べられずに済み、帰っていく。
舞台では、マンク・ダランが「これをワヤン・サプ・レゲールと言うのだ」
という感じで語る。
wsl.n.26-30/12/16
最後に「Om.santi.santi.santi,Om」と言って締めくくられた。

その直後、ダランはカヨナンを舞台中央に突き立て、終演となった。
グンデルも締めくくりの曲、Silih Asihを高らかに演奏し始めた。
この曲に入ると、「やっと終わり」というホッとした思いと、
「もうおしまいか・・・」という名残惜しい思いが交錯する。

ダランはカヨナンに重ねてアチンティア(バリの土着神)の人形を立て、
その右側にシワ神の人形を立てていく。
wsl.n.27-30/12/16
Silih Asihの曲が美しく響く中、次にこの儀礼の要となる聖水を
ダランは準備し始めた。
(ダラン、とだけ書いてるけど、当然この方も聖水を作れるマンク・ダランだ)
儀礼は、この家のウク・ワヤン生まれの人のために催されており、
ワヤン上演後にその人がダランの聖水を浴びることで、完全に浄められるのだ。

明日は、この後の儀礼の様子を書きます。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
明日も良い一日でありますように!
関連記事
プロフィール

里花

Author:里花
花々と緑あふれる大好きなバリ島に、17年ほど前から通い続けています。
神々への感謝と祈りとして芸能を捧げるこの島で、ここ数年の滞在中は伝統音楽ガムランの楽器グンデル・ワヤン(上写真)を習っています。
現在東京在住ですが、近いうちバリ島に住むつもりでいます。

最新記事
最新トラックバック
カテゴリ
カレンダー
02 | 2017/03 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
検索フォーム
リンク
☆お願い
素人写真ですが、写真の無断使用はご遠慮ください。 記事文を引用される場合は、引用元明記の上、なるべく当方へご連絡ください。 質問や不明点等ありましたら、お気軽にコメント欄でお問い合わせください。