サプ・レゲール@依頼者宅④ワヤンその2<2016年12月>

wsl.n.14B-30/12/16
こんにちは。12月30日のサプ・レゲール儀礼の続きです。
ワヤン・クリは、この儀礼でのみ演じられる物語が上演され、
それを”ワヤン・サプ・レゲール”と言う。
Alas Arumの曲が流れる中、ダランの語りが始まり、まずクマラ神が右側から登場した。
(集会所でのサプ・レゲールの時と物語は同じですが、一応また大体の流れを書いておきます)
クマラ神はシワ神の息子だが、ウク・ワヤン(バリ暦でワヤンという週)生まれのため、
兄である人喰い神カラに追われることとなる。

Alas Arumから続けて曲がPunyaca Parwaに入り、トゥアレンも右側から登場し、
左側へと動いて、クマラ神と向き合う形になる。
wsl.n..15-30/12/16
トゥアレンは善側の主人の従者として登場し、神々が古代ジャワ語で話す台詞を
バリ語にしてわかりやすく伝えるという役割も果たす。
グンデルの演奏が一旦やみ、トゥアレンが話し続ける。
バリ語でも私にはわからないけど、これから始まる物語のことを
話しているのだと思う。
登場人物のセリフや語りは、すべてダラン1人が声色を変えて演じる。
やがてクマラ神が話しながら泣き崩れていく。
我が身に降りかかる運命を嘆いているのだろうか。
グンデルは、泣くシーンの曲”Mesem”をしっとり静かに演奏する。

その辺りで、会場の方(家寺か祭壇?)から僧侶の鳴らす鈴の音が聞こえ始めた。
やがて僧侶がマントラを唱える声も、マイクを通して聞こえてくる。
ダランの声も朗々と大きく、マイクを通して響いているが、
僧侶のマントラもよく響いて、思いきりかぶって聞こえる。
これはバリの儀式ではごく普通のことだが、集会所のサプ・レゲールの時は
ワヤン・クリの間は他に何も行われなかったので、そこが違うなと思った。

ちなみにバリの祭礼や儀礼では、お祈りやお浄めだけでなく、
奉納される様々な芸能も、僧侶の祈祷に合わせて行われることが多い。
ワヤン・クリのすぐ向こうでトペンやバリスなどをやっていることもあるし、
ガムランも、グンデルと別編成のものが同時に演奏されてたりする。
さらに数人で朗詠するキドゥンという詠歌がかぶってくることもある。
初めて参加した時は混乱してびっくりしたけど、いろんな音がごちゃ混ぜになるのも、
何とも賑やかなバリらしさだなと、次第に思うようになった。

この時も、上演はワヤンだけだが、ダランと僧侶の声がかぶり、鈴の音が響き、
会場からは時折子供の声、女性のしゃべり声、それに犬の鳴き声も聞こえてきた。
華やかな供物であふれる中にも、どこかお家での儀礼らしい温かさを感じた。

スクリーンではクマラ神が一旦去り、トゥアレンの息子ムルダが登場し、
しばらく二人の話が続く。
やがてシワ神が登場し、再びクマラ神も出てくる。
登場人物が出入りする時、グンデルは何種類もある短いAngkatangの曲を
シーンによって使い分けて演奏する。
最初はゆっくりめだったAngkatangが急に速くなり止まると、
スクリーンの中央にカヨナンが立った。
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カヨナンは舞台の幕のような役割ももち、ここで場面が変わるのだ。
ところで、この日は舞台の周りに布が張られていたのだが、
時折布を持ち上げて、ワヤンを見に来る人がいた。
儀礼の時は、主催者側の人たちは皆忙しく、神々に向けて上演されるワヤンは、
(人間は)あまり見てないこともよくある。
なので、わざわざ舞台側まで見に来る人がいると、何だか嬉しくなってしまう。
この時も子供が布を持ち上げて、横からのぞき込んでいた。

この後、物語は人喰いカラ神とその従者の登場に向かっていくのだが、
その前に、速いテンポのAngkatangに合わせ、人々が走っていく。
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ダランは両手に2つずつ人形を持ち、素早く動かしていく。

4人(4体の人形)が激しく交錯する。
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この場面の意味はよくわからないが、人々がすごく慌てている感じなので、
”人喰い神が来るよ!”って騒いで逃げ惑っているのかもしれない。

Angkatangが一旦止まると、すぐにジャーン!とデレムとサングットのテーマに入る。
デレムとその弟サングットは悪側の従者だが、トゥアレンやムルダ同様、
バリ語で語り、わかりやすく、時に面白おかしく話しながら物語を進めていく。
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左側から登場し、前を行くのがデレム、後ろがサングットで、
ちょっとボサッとした毛が頭についているのが特徴だ。
デレムとサングットがひとしきり、というか結構長く喋った後、
いよいよ人喰いカラ神が登場する。

カラ神はシワ神の息子だが、誤った出生により人喰い神になる、という伝説だ。
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ダランが左手で高く持ち上げているのがカラ神で、誰かを追いかけている。
素早い動きが繰り返され、緊迫した追走がしばらく続く。

明日も、このワヤンの続きを書きます。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
明日も良い一日でありますように!

※ワヤン・サプ・レゲールの物語は概要しか知らなかったので、詳しくは帰ってから調べました。
実際の上演では、ダランにより細部の流れや演出が違うため、ここで私が書いている場面の説明も、
ひょっとしたら間違いがあるかもしれません。
なお、調べるに当たり、インターネット上に公開されている梅田英春氏の次の論文を参考にしています。
 「バリのサプ・レゲール儀礼におけるワヤン演目の研究:イ・マデ・クンバルの上演事例から」
   (このアドレスから閲覧できます→http://ci.nii.ac.jp/naid/110004868641)
 また、次のサイトも参考にしています。
  「AyuWerdhi Blog」より「バリの丙午⁉︎」
     http://blog.ayu-werdhi.net/?eid=897446
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プロフィール

里花

Author:里花
花々と緑あふれる大好きなバリ島に、17年ほど前から通い続けています。
神々への感謝と祈りとして芸能を捧げるこの島で、ここ数年の滞在中は伝統音楽ガムランの楽器グンデル・ワヤン(上写真)を習っています。
現在東京在住ですが、近いうちバリ島に住みたいです。

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