ニュピの日・前日からのお供え<2017年3月>

sangah cucuk28/03/17
こんにちは。今年3月のバリ島滞在、3月28日夕方の続きです。
ホテル敷地内を散歩していると、サンガー・チュチュSanggah Cukcukがありました。
祭礼や儀礼の時だけ門前に立てる祭壇の一つで、この三角形の屋根のものが
”サンガー・チュチュ”だと師匠に聞きました。
詳しい意味はよくわからないのですが、ムチャル(悪霊、地霊をなだめる儀式)や
火葬関連の儀礼の時などに、この形のものを見かけます。
ニュピ前日に行う儀礼Taur Kesanga(Ngrupuk)もムチャルの一つなので、
このサンガー・チュチュを各家でも立てるのだと思います。
前日に供えた供物が中にぎっしり詰まり、横にも供物用の小さなティパットなどが
たくさんぶら下がっています。

バリ島の特別な日・ニュピについて、記しておきます。
ニュピはバリ島で古くから使われるサカ暦(太陰暦の一つ)で十番目の月、
Sasih Kadasaの初日で、新月の日になります。
西暦での日付は毎年ずれますが、大体3月終わり頃で、今年は3月28日でした。
この前日の暗月の日に、冥界の神ヤマ神が大掃除をするので、ブタ・カラBhuta Kalaが
地界から追い出され、地上に這い出てくるとされます。
※ブタ・カラは悪霊と訳されますが、シワ神の破壊的な一側面とも考えられ、
 災いをもたらす大きな力を持つとされます。
 そのため、供物と儀礼によりその力を善へと転じ、共存共栄することが大事と考えるのです。

ニュピ前日はバリ島中で悪霊払いの儀礼を行い、一年の穢れを祓い清めるのです。

ニュピはSepi(スピ=静か)が語源で「静寂の日」とも言われます。
労働、外出、火の使用、殺生が禁じられ、本来断食と瞑想で内省して過ごすそうです。
”悪霊ブタ・カラに見つからないよう、いかにも「この島には誰もいません」と言うように
家にこもり、生活の匂いも感じさせないよう過ごすのだ”とも言われます。
実際に断食するかや、静かに過ごす度合いは家や地域によっても違うようですが、
厳しいお家もあるようです。
ホテルのある女性スタッフは、「この日は娘とも一言も口を聞けない、誰とも話さない」
のだと言っていました。
子供達も、「騒いだら悪霊に見つかっちゃう!」なんて思うと、
怖くて静かになるのかもしれませんね。

観光客も宿泊施設の敷地内から出ることはできませんが、ホテルの営業自体は許され、
ホテル内のレストランで食事も出してくれます。
当日シフトに入っているスタッフは、帰れないので前夜と当日の夜は泊まり込みです。
(仕事は大変と思うけど、私が見る限り、若いスタッフは”お泊まり”も楽しいようです。)

私たちもホテルにいる限り、食事もあるし、何も心配せずのんびりしていられます。
そろそろ日が傾き、澄んだ大気を、夕方の光が満たしていきます。
sunlight28/03/17
ホテル敷地内にいるだけですが、澄んだ空と静けさをたっぷり味わい、
心が穏やかになっていきます。

バリ島サカ暦は太陰太陽暦なので、月ごとの季節感は、毎年大体同じになります。
師匠も「なんとかの月は雨が多い」とか「なんとかの月は強風が吹く」
とかよく口にしています。
ニュピのある第十番目の月Sasih Kadasaは、ちょうど雨季が終わりかけの頃で、
”稲の収穫に良い時期”とされます。
バリ島の稲作は、今でこそ2〜3期作が主ですが、1970年代に品種が変わる前は、
年1度、雨季に稲作を行う地域が多かったそうです。
とすると、昔はちょうど雨季の終わり、ニュピの前後に稲が実り、
刈り取る収穫の時期ということになります。
その時期に大がかりな悪霊払いの儀式をして、新しく一年を始めるとすることは、
個人的に推測すると、どうも稲作と関係が深いように思えます。
バリ島の寺院祭礼オダランも、古い寺院の場合はサカ暦でするところが多いです。
バリヒンドゥーの総本山ブサキ寺院及び、ブサキ寺院と関連の深いバトゥール寺院は、
サカ暦でニュピ後の満月が毎年オダランにあたります。
昔ならこれも稲の収穫時期に当たるわけで、、ひょっとすると日本の11月の
”新嘗祭”のような意味があったのかもしれませんね(個人的推測です)。

今では稲作も2〜3期作が多く、季節感は変わってしまっているでしょうが、
雨季のバリ島は、花々が多く緑も深いことに変わりありません。
spider lily28/03/17
足元には、スパイダーリリーの花がパッと開いていました。

見上げると、ジュプン(プルメリア)の花もたっぷり咲いています。
frangipani28/03/17
ジュプンの木、雨季は花だけでなく葉も多く茂ります。

ニュピの日は、労働や外出だけでなく火の使用もできないので、
仕事に行かないし、家にいても料理や家事はできないということになります。
師匠も、ほとんど年中無休で演奏の仕事をしていますが、ニュピの日だけは
毎年必ず休みになる、家でゆっくり静かに過ごせる、と楽しみにしています。
思えば、家事に忙しい主婦だってこの日は何も”できない”ので、
何もしなくていい、家によっては話さえしなくていい、ということです。
ある意味、誰にも気兼ねせず体も心も休められると思います。
日本でも昔はお正月や小正月など、女性が家事をしない風習もあったと思います。
宗教的な意味も大切ですが、実際には体を休められる、というのも
神様の粋な計らいかもしれませんね。

私も、何かできないのでゆっくりできる、そして静けさを味わえる、
このニュピの日は大好きです。

明日もこの日の続きを書きます。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
Sampai jumpa besok(また明日)!

 ※ニュピについては、次のサイトを参考にしています。
  「バリ島ナビ」より「ニュピ〜サカ暦の新年」
  「バリ島旅行.com」より「バリ島のお正月ニュピ」 
  「ウブド・バリ アパ?情報センター バリ島見聞録」より「ニュピ」
   

タウール・クサンゴ儀礼⑥儀式の終わり<2017年3月>

taur kesanga20-27/03/17
こんにちは。今年3月のバリ島滞在、3月27日の続きです。
四ツ辻でのタウール・クサンゴ儀礼は、奉納舞の途中から、踊り手や参列者の
何人もがクラウハン(トランス)に入り、終盤を迎えました。
午後6時40分頃、まだ胸にクリス(儀礼用短剣)を突き立てる男性がいて、
マンクー(僧侶)が聖水をかけて清めています。

クラウハンからまだ覚めやらず、ぐったりしたままの人もいる中、
儀式自体は終いのようで、座っていた参列者も立ち上がり始めました。
taur kesanga22-27/03/17
ガムラン隊も、煽るような激しい音から変わって、一定のリズムを刻み始めます。

まず男性に掲げられたご神体のランダの面が、辻を横切り移動していきます。
taur kesanga21-27/03/17
黒いシャツはプチャラン(自警団)の人たちで、前に立って通り道を作っていきます。

皆立ち上がり、トゥドゥン(儀礼用傘)を差しかけられたランダの面が
通っていくのを見守っています。
taur kesanga23-27/03/17
日は暮れて、空には夕闇が迫ってきています。

マンクーや踊っていた女性たちに続き、みな移動する時間のようでした。
taur kesanga24-27/03/17
正装の男性たちは頭にウドゥン(儀礼用鉢巻)を巻いていますが、
その後ろに差し込んだ花もきれいです。
男性も、お祈りの時手指に挟んで使った花を、耳元やウドゥンなどに
こうして差し込みます。
花を通して神様と繋がる意味があると聞いたことがありますが、
女性同様、おしゃれの一つでもあるようです。

参列者一同はみな、大きなブリンギンの木がある寺院境内に入っていきました。
ここでしばらく休憩タイム、みたいな感じになり、参列者も一旦家に戻ったり、
近くのワルンで一服しておしゃべりしたりします。
四ツ辻にはいっとき、オゴオゴだけが取り残されたような感じになります。
taur kesanga19-27/03/18
小1時間ほどすると、またみんな集まってきて、オゴオゴ行列が始まります。
2年前は、オゴオゴ行列まで見たくてずっと近くで待っていたのですが、
待ち時間というのも案外くたびれます。
今回も、このオゴオゴが練り歩くところを見たい気持ちもあったけど、
儀式の前から1時間ほど立ち見していたので、既にかなりくたくたです。
一旦休憩しようと戻る間、もう儀式を見たからいいか〜という気分になり、
そのままホテルに戻り、オゴオゴ行列は見ませんでした。

さて、ニュピ前日の夜は四ツ辻でのタウール・クサンゴ儀礼の他に、
バリの人々は各家でもお清めの儀式をします。
私は各家での儀式は見たことがないのですが、次のようなものだそうです。
ニュピのために門前に立てる特別の祭壇や地面などにお供えをして、
火(松明)を持って、家寺の祠、家中の建物を清めて周ります。
その時、子供たち中心に、鍋釜や竹竿、楽器、缶など音の出るものを何でも持ち、
激しく打ち鳴らしながら一緒に周ります。
激しい音で悪霊を驚かせて追い散らし、神聖なる火で全てのものを浄化する、
ということだそうです。
音をガンガン打ち鳴らすこの風習は、子供には楽しいものでしょうね。
音を鳴らして周る儀式は”オゴオゴ”よりずっと古くからあるものです。
あちこちで村のクルクル(伝令用の木鐘)も激しく鳴らされ、通りでは爆竹も破裂し、
松明と音を鳴らす騒々しい行列は町中を練り歩くと、1930年代の本に書かれています。
この時、顔や体を塗りたくっている人もいたそうで、そんなところから、
誰かがオゴオゴを思いついたのかもしれませんね。
(オゴオゴは1980年代から始まったそうで、今でも行わない地域もあります)

タウール・クサンゴについていろいろ調べ、興味深いことを知りました。
タウールという言葉は”支払い、返却”を意味するのだそうです。
人間は自然の恵みで生かされ、自然の要素を使い、吸い取って生きています。
その恵みの一部を供物として”お返し”することで、バランスが取れるのです。
そして、悪霊が本来の姿である神々へと転じるよう祈る儀式を通して、
共に調和しようとする人間を邪魔しないようになると考えるそうです。
その儀式をニュピ前日、つまりサカ暦で九番目の月Sasih Kesangaの最終日に行うのが
”タウール・クサンゴTaur Kesanga”だとのことです。

今年は、実はオゴオゴよりもこの四ツ辻の儀式の部分をきちんと見たかったので、
私としては十分満足でした。
この日は夕方前に、飲食店などはほとんど閉まってしまいます。
私たちは帰り道、コンビニに寄って夕食用のカップ麺などを買いました。

明日は、この日通りで見かけた花のことなどを書きます。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
Sampai jumpa besok(また明日)!

 ※儀式については、ホテルでもらった案内の他、次の本やサイトを参考にしています。
   本:「バリ島」ミゲル・コバルビアス著 関本紀美子訳 平凡社
   サイト:「バリ島ナビ」より「ニュピ〜サカ暦の新年〜」
       「ハウズバリ バリ島生活情報誌」より「デンパサール市のオゴオゴ」

タウール・クサンゴ儀礼⑤クラウハンKerauhan<2017年3月>

taur kesanga12-27/03/17
こんにちは。今年3月のバリ島滞在、3月27日の続きです。
四ツ辻で行われたニュピ前日のタウール・クサンゴ儀礼、
午後6時半を過ぎると、西の空が夕焼けに染まってきました。
あかあかとした空を背景に、ご神体のランダの面が儀礼を見守っています。

女性たちの奉納舞のさなか、クラウハン(トランス)に入る人が次々と現れ、
マンクー(僧侶)たちは抱えて支えたり、聖水をかけたりと大忙しです。
taur kesanga13-27/03/17
バリの儀礼では、クラウハン(トランス)が重要な核心となることも多いようです。
クラウハンKerauhanはインドネシア語にすると”Datang(来る)"という意味で、
何か見えない存在が”来た”つまり憑依した状態をさします。

憑依するのは精霊だったり悪霊だったり、色々な場合があるようです。
また、その憑依の形もいろいろで、特にそれを目的とした儀礼の場合、
マンクーや少女など予め選ばれた人が、用意周到に準備することもあります。
私が今まで実際に見た事があるのは、特に予め決まった人というのでなく、
儀式中突然暴れ出したり、踊り出したり、体を硬直させたりするものでした。
中には獣のように四つん這いに歩いたり、女性の場合は突然叫んだり、
倒れても手だけ踊り続けたり、すすり泣いたりというのもありました。

この時は、踊っていた女性の数人が、よろめいた感じになり、
目を閉じて踊り続け、倒れそうになってマンクーに支えられました。
誰かがクラウハンに入ると、周囲の人々は注意深く見守り、
倒れたり飛びかかってきたりしない限り手出しはしません。
周りで控えている何人ものマンクーが、様子を見て支えたり押さえたりして、
適当なタイミングで聖水をかけ、正気に戻らせます。

聖水をかけてもすぐ正気に戻る人と、なかなか戻らない人がいます。
taur kesanga15-27/03/17
男性はうわーっと暴れ出す人も多く、ちょっと騒然とした感じになってきました。

この事態は地元の人には当たり前でも、初めて見る観光客にはびっくりです。
taur kesanga16-27/03/17
私も本などで知ってはいたものの、初めて見た時はびっくりでドキドキしました。
自警団の人たちも暴れる男性のそばに出てきて、混乱しないよう備えています。
言い換えれば驚いた見物客が過剰反応して、儀式を乱されても困るのだと思います。

後で思えば、四ツ辻を囲んで参列者が座り、見物客と混ざらないようにしたのも、
混乱を避けるためだったかもしれません。
taur kesanga17-27/03/17
男性がクラウハンに入ると、適当なタイミングでその人にクリス(短剣)が渡されます。

渡された男性は、クリスの先を胸に突き立てるのです。
taur kesanga18-27/03/17
女性の陰にいる男性が、歯を食いしばってクリスを突き立てています。
先は結構尖っているので痛いはずで、時に怪我することもあるそうですが、
クラウハンに入ると筋肉が硬直するため、その時は痛みを感じないのだそうです。
男性が胸にクリスを突き立てる場面は、観光用のバロンダンスでも演じられるので、
見た事がある方も多いのではと思います。
(観光用のものは、演技だろうとは思いますが・・・たぶん。
 ただ、昨年PKBの舞台でもクラウハンがあったそうなので、なんとも言えませんね。
 →昨年のPKBでの様子、ご興味のある方はシロブチさんの記事にて!)


ガムランも急激に音が大きくなり、クラウハンを煽るかのように
速く激しいリズムを打ち鳴らします。
この儀式でのガムランは”バラガンジュール”で、行列などでよく演奏される形態です。
”バラ”とは”地下に棲む精霊たち”、”ガンジュール”とは”賑やかに囃したてる”
という意味です。
もともと、地上で賑やかな音を立てて地下の精霊、悪霊たちを呼び出し、
供物を捧げるためのガムランなのです。
※バラガンジュールbalaganjurはブボナンガンbebonanganとも呼ばれます。
ボナン属のドラ(音階順に調律された数個のコブ付きドラ)で、五音ペログによる旋律的なパターンを演奏し、
2台のクンダン(太鼓)とチェン・チェン・コピヤック(手持ちの小型シンバル)などが加わります。
バラガンジュールは悪霊祓いに関する儀式や火葬儀礼の行列などに欠かせませんが、
イベントのパレードなどでもよく演奏されます。
ただし、神々が降臨するための儀式には使えないのだそうです。


儀式でのクラウハンは突然、どのタイミングで起き始めるかわかりません。
クラウハンが始まると、ガムランは急速に激しくなりますが、
そろそろ正気に戻る、という時には、次第にテンポも音量も下げていきます。
以前オダランでクラウハンを見た時は、ガムランはゴン・クビャールという編成で、
楽器の種類も多く複雑な曲ですが、演奏の変化のしかたは同じでした。
テンポや音量の変化のタイミングは、リーダーを中心に奏者もわかっているようですが、
マンクーが直接ガムラン隊に指示を出すこともあると、以前師匠が話していました。

このクラウハンは、見えない世界が見えない人にも、その存在をはっきり感じられる、
とても重要なものなんだろうなと、私は感じます。(個人的感想です。)
普通にしていた人が突然暴れ出したり、叫んだり硬直したりすると、
周りの人は、あ、何かここに来てる、この人に入った、と感じます。
悪霊などはいてほしくない存在かもしれないけど、ただ否定し追い払うのでなく、
そうだね、見えないけどいるんだねと認めることで、なだめるのかもしれません。
タウール・クサンゴも悪霊払いの儀式だけれど、まず供物や音楽、奉納舞などを通して
お出まし願い、居合わせた皆でその存在を確認することが大事なのでしょう。
それから聖水をかけてご退散願う、あるいは祈りやマントラを通して、
その強烈なパワーを良い方へと転じさせるのが儀式の流れなのかなと思います。

ところで、クラウハンが始まると、奉納の舞踊や劇など途中でも中断してしまいます。
時にクライマックスシーンなしで終わることもあり、あんなに練習してたのに、
あの場面やらないで終わっちゃうの?なんてこともあります。
(以前師匠のバンジャールで、オダランで奉納する舞踊劇の練習を見たことがあったのですが、
 終盤の迫力シーンの本番を楽しみにしてたら、当日はそこに入る前に、バタバタッとクラウハンになり、
 終わってしまってちょっと残念、なんてこともありました。)


クラウハン、一時期バリ人もやはり今時これは・・・という風潮になりかけたらしく、
あまり観光客に見せたくない、ということもあったようです。
でも最近はまた変化して、バリらしい儀式の核心として誇りにしているそうです。
私も今回見ていて、儀式の中でクラウハンも滞りなく行えるよう、
細心の注意を払っているように感じました。
まず、儀式の始まりとともに、まるで結界を張るかのように辻を囲んで皆が座り、
見物客が混ざらないよう、場所を区切っていました。
そして、クラウハンに入った男性がクリスを突き立てると、
座っている参列の男性たちが、拍手を送っていました。
よーし!という感じの拍手や声援が送られ、これが儀式なんだ!ということを
明確に示している感じでした。

バリの祭礼や儀礼は、大勢参加して賑わった方が良いとされることも多く、
外国人や観光客も、快く見させてもらえる機会が多いと思います。
ただ、儀式の邪魔をされては困るわけで、特に観光地では問題も多いのでしょう。
今年はホテルでもらった案内でも、儀式について詳しく書かれていたり、
儀式の場でも、見物客が邪魔しないよう考えて工夫している気がしました。
観光客を大切にしながらも、自分たちの文化はきちんと守っていく、
そんな気概も感じました。

明日もこの続きを書きます。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
Sampai jumpa besok(また明日)!

 ※儀式、クラウハン、ガムランについては、次の本とサイトを参考にしています。
   本:「神々の島バリ」(春秋社)より
       「儀礼としてのサンギャン」(嘉原優子)「ガムランの体系」(皆川厚一)
     「バリ島 -Island of Gods-」賈 鍾壽(Ka Jongsoo)著 大学教育出版
   サイト:論文「加えられたグンデル・ワヤンーバリ島の正月ニュピをめぐる新習慣と村の音の十年」
                        (伏木香織)
             

タウール・クサンゴ儀礼④奉納舞の途中で<2017年3月>

taur kesanga6-27/03/17
こんにちは。今年3月のバリ島滞在、3月27日の続きです。
四ツ辻でのタウール・クサンゴ儀礼、既婚女性たちの奉納舞は、
ゆっくりと隊列が輪になって続きます。
と、向こう側に座っていた男性が急に立ち上がり、
よろよろっと踊りの輪の方に進み出ます。

男性は輪に入って、奇妙な感じで踊るように進んでいきます。
taur kesanga7-27/03/17
女性たちは自分の踊りに集中し、何事もないかのように
ひたすら舞い続けます。

男性は向きを変えて立ち止まったり、明らかに様子が変です。
taur kesanga8-27/03/17
どうやら、クラウハン(トランス)に入ってしまったようです。
でもこの事態は毎度、と言っては何ですが儀式に織り込み済みのことなので、
参列者たちは誰も驚いていません。
普通にスマホなんかかざして画像を撮る人もいます。

ふと見ると、淡々と踊り続ける女性たちの中に、足元が乱れてきた人がいました。
taur kesanga9-27/03/17
踊り続けながらも、どこかよろめいている感じです。

輪から外れ、大きな身振りで踊り続けます。
taur kesanga10-27/03/17
この女性もクラウハンに入ったかな、と思いました。

踊りの輪が、だんだん乱れてきました。
taur kesanga11-27/03/17
右の方には、相変わらずおかしな動作を続ける男性、
そして踊る女性の中にも、ぶつかり合うようになっている人がいます。

奉納舞の途中で、というよりむしろ、この”クラウハン(トランス)”を誘発するために、
踊りとガムランが行われているような気さえします。
この状態が、見えない世界と作用し合う、儀式の大事な部分でもある気がするのです。

クラウハンも、”入る”というか”憑く”ものが色々であったり、
あらかじめ入る人が決まっている場合もあります。
ここでは見ている限り、特に誰とは決めず、偶発的に入っている感じでした。
明日、この続きとクラウハンのことをもう少し書きたいと思います。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。
Sampai jumpa besok(また明日)!

タウール・クサンゴ儀礼③女性の奉納舞<2017年3月>

taur kesanga1-27/03/17
こんにちは。今年3月のバリ島滞在、3月27日の続きです。
午後6時半頃、マンクー(僧侶)の後ろで控えていた女性たちが、
四ツ辻に進み出てきました。
先頭の数人は、サロンも白のイブ・マンクー(僧侶の奥様)たちで、
その後ろに、既婚女性らしき女性たちが続きます。

右手には、先に花がついた筒のようなものを持ち、それを掲げるようにして
ゆったりと舞が始まりました。
taur kesanga2-27/03/17
中央にいる女性が持つ器には、香木が焚かれています。
そこからもうもうと煙が流れ、たちこめていきます。

辻の中央まで来ると女性たちは向かい合い、静かに舞い続けます。
taur kesanga3-27/03/17
ごくシンプルで単調な動きが繰り返される舞で、Pendet(ペンデット)または
Mendet(ムンデット)と呼ばれる、村の既婚女性による神聖な集団奉納舞です。
(※観光向けのバリ舞踊でも同名の”ペンデット”がありますが、そちらは娯楽・鑑賞用の舞踊で、
 ショーなどでウェルカム・ダンスとして踊られるもので、これとは異なります)

バラガンジュール編成のガムラン隊も、祈祷の時はややテンポの速い曲でしたが、
この舞の間は、ゆったりしたリズムで静かに奏で続けていました。

手を返して踊りながら、向かい合う女性が交差して入れ替わります。
taur kesanga4-27/03/17
公演などで見るバリ舞踊とはまた違う、古の香りを感じる優雅さです。

女性たちが手に持つ筒、見ていた時は花だけかと思ったのですが、
後で写真を見て、小さな顔の面がついていることに気づきました。
taur kesanga5-27/03/17
よくよく見たら、大きな供物の上などでも見かける”チリ”の形です。
”チリ”は豊穣の女神デウィ・スリを象ったモチーフと言われ、女性の顔の上に、
三角形に花を飾ったような形です。
全体をヤシの葉で編んで作るものもあれば、面や花で作ることもあるようです。
写真中央の女性は、香木を焚いた器を持っています。
この煙が、どこか空気を異世界へと誘っているようにも思えます。

明日もこの続きを書きます。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
Sampai jumpa besok(また明日)!

 ※奉納舞については、次の本とサイトを参考にしています。
   本:「バリ島」ミゲル・コバルビアス著 関本紀美子訳 平凡社
   サイト:「バリ舞踊図鑑Padmanila」より「ペンデット(Pendet)」
プロフィール

里花

Author:里花
花々と緑あふれる大好きなバリ島に、17年ほど前から通い続けています。
神々への感謝と祈りとして芸能を捧げるこの島で、ここ数年の滞在中は伝統音楽ガムランの楽器グンデル・ワヤン(上写真)を習っています。
現在東京在住ですが、近いうちバリ島に住むつもりでいます。

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